肺だけに限らず色んな部位に症状が現れて急激に重症化してしまう新型コロナウイルス。以前は高齢者や基礎疾患を持った方が重症化し、若い人は重症化しにくいと言われていました。ですが最近は若者や基礎疾患のない人でも重症化することが分かっています。
これは何故なのか?新型コロナウイルスは体内でどのような悪さをしているのか?
研究の結果、徐々にその正体が明らかになってきています。
新型コロナウイルスの最近判明した性質についてまとめていきます!
全身に様々な症状が起こる
新型コロナウイルスは突起状のスパイクタンパク質がたくさんあり、人の細胞膜にあるACE2受容体と結合して侵入していきます。これが感染の始まり。
このACE2受容体が多く存在する箇所は口腔内・肺・腸管などで、ここからウイルス感染する確率が高いということです。
感染した場所が口腔なら味覚障害が起こり、肺なら肺炎、腸管なら下痢や腹痛が起こります。
このようにウイルスが侵入した場所によって症状が変わるので、同じ新型コロナウイルス患者でも症状が違ってくるのです。
他にも、気管支や心臓・腎臓にもACE2受容体は多く存在します。
そして、ウイルスが侵入し一度血管内皮細胞に感染すると血管を通り全身にウイルスがまわり、全身の臓器で症状が発生してしまいます。
血栓を作りやすくする
新型コロナウイルス患者に多くある症状として分かってきたものが手足に霜焼けのような症状が現れるということです。
これは新型コロナウイルスが血栓を作りやすくするくするという性質があるから。
新型コロナウイルスが全身の血管にダメージを与え、ダメージを修復するために血小板が集まり血栓ができてしまうとのことです。
この血栓が心臓にできれば心不全、肺にできれば呼吸不全、腎臓にできれば腎不全、脳にできれば脳梗塞となります。
アメリカでは血栓により足先への血流が停止し足を切断しなければならない症例も多数あり、
最近では新型コロナウイルス感染の子供に全身の血管に炎症が起こる川崎病のような症状が現れているという報告もあるようです。
どちらにしても血管・血流に対して大きな障害が起きているということですね。
免疫細胞が暴走する
若者や基礎疾患がない人でも重症化する理由として今分かってきている新型コロナウイルスの性質は、免疫細胞が暴走するサイトカインストームが起こるということです。サイトカインストームが起こると免疫細胞が過剰に反応し普通なら病原菌だけを攻撃するものが自分の正常な細胞までも攻撃して破壊してしまうのです。
新型コロナウイルスに感染すると免疫細胞を呼び込む物質インターロイキン6が大量に分泌されることが分かっており、それにより免疫細胞が大量に集まり病原体だけでなく正常な細胞まで攻撃をしてしまいます。
若い人や健康な人は免疫機能が高く免疫細胞が活性化しやすいため、このサイトカインストームが起こり重症化してしまうのではないかと考えられています。
期待される薬
新型コロナウイルスで重症化するひとつとして免疫細胞の暴走サイトカインストームがあることから、自己免疫疾患であるリウマチで使われる抗リウマチ薬が有効ではないかと考えられています。
インターロイキン6の分泌を抑制し、免疫細胞の暴走を抑制する効果があります。
また、皆さんご存知アビガンやレムデシベルにも期待されています。
軽傷者にはアビガン(今月中に薬事承認を目指す指針)、中等・重傷者にはレムデシベル(特許承認中)を使用する見通しです。
症状によって効果のある薬が分かってくると重症化や死亡を減らす希望が持てますね。
《参考資料》
東洋経済/コロナ重症治療にリウマチ薬が期待される根拠
中外製薬「アクテムラ」の免疫暴走抑制に注目
まとめ
新型コロナウイルスの存在が明らかになってから約半年。未知のウイルスの正体が徐々に明らかになってきています。効果のある薬も分かってきています。ワクチンの開発も進められていますし、本当に医療従事者や研究者の方々には感謝しなければいけませんね。
私たちはそんな方たちの足をひっぱらないように出来る限り不要不急の自粛を引き続き心がけていきましょう!
《参考資料》
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