空前の骨盤ブームがやってきてから今も安定して人気の「骨盤矯正」。
骨盤が歪んでいると太りやすくなったりあらゆる不調が起きるというものです。
私の在籍する院にも「なんとなく歪んでいる気がする」「産後だから骨盤矯正したい」という方が多くいらっしゃいます。
いまや女性を中心に深く浸透している骨盤矯正ですが医師と施術者では受け止め方がかなり違うようです。
認知度の高い「骨盤矯正」ですが、情報に惑わされることのないよう医師と施術者の両方の意見をもとに見ていきましょう!
骨盤矯正に対して医師は疑問を抱いている
骨盤矯正とはどのような事をすると思いますか?皆さんのイメージは漠然と開いたり捻れたりしてズレている骨盤を正しい位置に戻すみたいなイメージだと思います。
ですが、医師の見解を見てみるとかなり否定的。そもそも医学用語に「骨盤矯正」というものはなく、矯正というのは正常な状態から逸脱したものをコルセットなどで固定して正常な状態に戻すもの。骨盤は強靭な靭帯で固定されているので形が逸脱することはほぼないとのこと。
確かにそうですね。
骨盤が開くと太りやすくなって、骨盤を締めると痩せる。などというイメージがいまだに定着しています。
骨盤は左右2つの寛骨と中央の仙骨からできていて、寛骨と仙骨を繋いでいる関節を仙腸関節と呼びます。この仙腸関節は他の関節と違い動きがほとんどありません。あっても数ミリです。
この関節が見た目で分かるほどズレるということはまずないでしょう。
そこを医師が言われているように力任せに押したり引っ張ったりしても動きませんし組織を痛めてしまいかねません。事故や出産でずれてしまった仙腸関節を矯正するには一般的なマッサージのような手技では到底無理ですし、熟練した技が必要というのも頷けます。
では整体院やカイロプラクティック院の施術者は適当なことを言ってお金を取っているのでしょうか?何をもって歪むと言い、どんなことを骨盤矯正と言っているのでしょうか。
施術者の思う骨盤の歪みと骨盤矯正
まず一見マッサージのような手技で施術を行なっている場合、骨盤周辺組織がつくる歪みの調整を行なっています。
骨(関節)そのものの歪みを取るのではなく、その周辺の臀筋・腸腰筋・外旋筋・内旋筋・内転筋・外転筋・腰方形筋・広背筋などなど、日常生活での体の使い方により出来てしまった筋肉のアンバランスや筋膜の癒着などが歪みを作っているとしアプローチしています。
この場合の歪みとは骨盤の傾きが前後または左右非対称になったり回旋してしまったり、骨盤に関係する関節(腰仙関節・仙腸関節・股関節)の動きを制御してしまっている事を言います。
他にもホルモンバランスや自律神経の乱れによる骨盤リズムの崩れも歪みを作る原因としアプローチする方もいます。
仙腸関節は強靭な靭帯でがっちりと守られていますが、自律神経やホルモン分泌により靭帯が緩んだり緊張したりします。
そのリズムは24時間のリズム・月のリズム・季節のリズム、女性の場合は妊娠出産のリズムがあります。ホルモンバランスや自律神経が乱れ、そのリズムが乱れてきていることも歪んでしまう原因のひとつなのです。
仙腸関節は数ミリとほんの僅かしか動かないと言いましたが、このほんの僅かな動きがとっても重要です。体を動かす時にはまずこの仙骨が動きますし、あらゆる伝達を脊柱を通って脳へ伝え体をコントロールする機能もあります。
仙骨についての詳しくはこちらの記事もご覧ください。
カイロプラクティックで行う骨盤矯正の施術は唯一、イメージ通りの骨盤矯正ではないでしょうか。
カイロプラクティックは関節の調整をしますから、「骨盤矯正」では仙腸関節を動かします。(といってもほんの僅かです)
併せて周辺の筋肉や自律神経の改善も行いますが、カイロプラクティックとしては関節へのアプローチです。
仙腸関節の調整は側臥位(横向き)で行うのが一般的で、安易に力任せで骨盤を捻ったり押したりするのではなく他の関節のロックをとり、他の組織を痛めることのないよう安全にアジャスト(調整)します。
カイロプラクティックはアメリカ発祥の手技でアメリカでは医療に近い位置にあります。その分、安全に行えるまでには十分な修行が必要で、浅い知識で見様見真似で行うと危険な手技でもあります。
このように簡単に「骨盤矯正」といいますが、その言葉だけが先走りしてしまい、何でもかんでも骨盤矯正と表現されてしまっている感じですね。医師が言う本来の骨盤矯正の意味と、施術者が言う骨盤矯正の意味が全然違うということです。
まとめ
以上、いかがでしたでしょうか。
骨盤矯正というのは整形外科などでギプスなどで固定するような医療行為ではありません。骨盤そのものがそう簡単に歪んだりしないよということを知っていてもらえれば、「あなたの骨盤は開いていますので締めましょう」などと決まり文句を言われても冷静に判断できますね。
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