「頭が痛い」という経験はほとんどの方が一度は経験あると思います。
いざ頭痛が起きたときにどうしたら緩和するのか?安心な頭痛なのか?判断できたらいいですよね。
今回は頭痛の種類と原因・症状・対処法について書いていきます。
頭痛の種類
頭痛には『脳や体に異常がない一次性頭痛』と『脳や体の異常から起こる二次性頭痛』があります。
一次性頭痛には緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛と3種類あり、頭痛そのものが疾患である頭痛です。頭痛を訴える人の約80%は一次性頭痛であると言われています。
二次性頭痛は脳や体に異常があり、その症状として頭痛が起きているもの。様々な原因があり、風邪や副鼻腔炎または二日酔いなどもその一つです。なかにはくも膜下出血・脳腫瘍など命に関わるようなケースもあるので、確率としては低いですが頭痛の原因判別はとても大切になってきます。
簡単にできる自分での頭痛診断はこちら。
【簡単な頭痛チェック】
- 風邪など他に症状がない
- 締め付けられているような痛み
- 眼精疲労がある
- 後頭部がこっている
- 疲れた時に痛くなる
- 脈を打つような痛み
- お風呂に入ると痛みが増す
- 動くと痛みが増す
- あるタイミングで発作的に起こる
- 目の奥が強烈に痛む
- 同じ時期の同じ時間帯に痛くなる
- いきなりハンマーで殴られたように痛む
- 継続的に痛み徐々に悪化していく
- 歩行や言動が普段通りにしにくくなる
- 1〜5に当てはまる場合→緊張性頭痛
- 1、6〜9に当てはまる場合→片頭痛
- 1、10、11に当てはまる場合→群発頭痛
- 12〜14に当てはまる場合→至急受診しましょう
いずれの場合も、いつもと違う経験したことない痛みの場合は病気が潜んでいる可能性があるので早めの受信をお勧めします。
では、それぞれの頭痛を詳しくみていきましょう。
一次性頭痛
脳や体の異常が原因ではない一次性頭痛ですが、緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛の中で1番多い頭痛が緊張型頭痛です。次いで女性に多い片頭痛。群発頭痛に関しては1000人に1人くらいの割合で頻度の高くない頭痛です。
通常、一次性頭痛の診断は頭痛の性質・時間・タイミングなどの問診により判断します。特徴としてあげられるのは他の症状もなく急に始まり数時間または数日間という一定の時間が経つと治り全く痛みを感じなくなるということ。継続時間や頭痛が起きるタイミングはそれぞれ違いますが、群発頭痛は特に発作的な要素が強くなります。
痛みが強い場合・軽くても長く続く場合は二次性頭痛を除外するためにCT検査やMRI検査などで検査を行うことが大切です。
緊張型頭痛
1番多い緊張型頭痛ですが、名称にもあるように筋肉の緊張が主な原因です。交感神経が過剰に働く状態で頭蓋骨周辺の筋肉の血流に障害が起こり、それによって締め付けられるような痛みが起きると考えられています。
【主な原因】
- 身体的ストレス
長時間のパソコン作業や不良姿勢での作業、またはスマホの使い過ぎなど。細かい文字を見ることでも起こります。眼精疲労に伴う頸部の筋肉の疲労が頭痛を誘発すると考えられます。
- 精神的ストレス
仕事のプレッシャーや人間関係のストレスなどで交感神経が優位になり続けることでも緊張型頭痛を誘発します。
- 継続的な頭部圧迫
サイズの合っていない帽子などで頭部を継続的に圧迫することでも頭痛を誘発しやすくなります。
【症状】
- 締め付けられるような頭痛
- 後頭部から側頭部または前頭部など痛くなる箇所は様々
- 脈を打つ感じではなく「締め付けられるような」「圧迫されるような」痛みが特徴
- ストレスや疲労が蓄積される夕方に起こりやすい傾向
- かろうじて日常生活が送れる程度の頭痛で吐き気が起こることは稀
【対処法】
- パソコンやスマホは長時間使わず途中で休憩を入れてストレッチをする。
- 頭を前に出したような姿勢は頸部にストレスを与えるので姿勢の改善を心がける。
- 外の空気を吸ったり深呼吸をして精神的なストレスを緩和する。
- 眼精疲労や頸部筋肉の緊張を解すためにホットタオルで温める、ぬるま湯にゆっくり浸かるなども効果があります。
- 我慢出来ない時は鎮痛剤を使用します。ただし用法は守りましょう。(過剰に取り過ぎるとそれが頭痛を誘発する薬剤使用過多による頭痛を引き起こします。)
- 頭痛や眼精疲労を和らげるツボ押しも症状の緩和に役立ちます。
《頭痛・眼精疲労に効くツボ》
- 百会(ひゃくえ)→頭頂部
- 印堂(いんどう)→眉の間
- 神庭(しんてい)曲差(きょくさ)頷厭(がんえん)和りょう(わりょう)→髪の毛の生え際に沿って並ぶ
- 風池(ふうち)天柱(てんちゅう)完骨(かんこつ)→後頭部の窪みに沿って並ぶ
片頭痛
片頭痛は女性ホルモンが関与してくることから女性に多く、男性と比べると4倍にもなります。頭部の血管が急激に拡張することで起こり、片側だけズキンズキンと脈打つように痛むのが特徴です。対処法は緊張型頭痛と逆なので注意しましょう。
【主な原因】
- 女性ホルモンエストロゲンの変動
生理周期でエストロゲンが変動する事で片頭痛が誘発される事があります。生理痛の薬が効かない場合は片頭痛の薬と併用していくと良いでしょう。
エストロゲンの変動が少ない妊娠中や閉経後では片頭痛が緩和されることが多いようです。
- 天候や季節
低気圧が近づいてくると片頭痛になる方もいます。気圧によって血管が拡張されることが原因。雨の前や台風が来る前になると片頭痛が起こり、雨が降り出したり過ぎ去ると治るという方がよくいらっしゃいます。また、春や秋、梅雨の時期なども気圧の変化で片頭痛が起こりやすくなっています。
- ストレス
ストレスの多い仕事をしている人が休日に片頭痛になるというパターンもあります。これは常に交感神経が優位で緊張状態だったところから一気に緊張が解かれ、副交感神経が優位になることで誘発されています。交感神経は血管を収縮させ、副交感神経は血管を拡張させる働きがあります。最大限の緊張から急激に拡張することで刺激されると考えられます。
- 睡眠障害
「寝過ぎ」「寝不足」どちらでも片頭痛を誘発します。寝過ぎでは副交感神経優位が長く続くことで起こり、寝不足では長く交感神経優位が続いたあと一気に拡張することで起こると考えられます。
- 食べ物
化学物質チラミンは動脈を収縮させ、発作を誘発すると言われています。チラミンは熟成されたチーズ・チョコレート・ピーナッツ・ピクルス・そら豆・えんどう豆などに含まれている他、ほぼ全てのアルコールに含まれています。また、カフェインでは頭痛を引き起こす作用もあれば治す作用もあり、普段飲まない人が飲むと誘発されやすく常飲している人が止めた場合も誘発されやすくなります。
【症状】
- ズキンズキンと脈を打つような痛み
- 片側だけに現れることが多い(まれに両側という場合も)
- 4〜72時間ほど持続して消失
- 頻度は月に1〜2回、週に1〜2回、毎日続くなど人それぞれ
- 音・光・香りに敏感になり吐き気が起こる
- 入浴や運動で痛みが強くなる
- 普段の家事や歩行でも痛みが増すので日常生活に支障が出やすい
- 発作が起こる数十分前にキラキラした光を見るなど前兆がある場合もある
- 運動障害・感覚障害・言語障害が起こることも稀にある
【対処法】
- 血流が良くなると痛みが増強するので、運動や入浴は控えましょう。
- 痛いからと頭部のマッサージするのはNG。血行がよくなり痛みが強くなります。
- 痛む側を軽く冷やしながら暗い部屋で目を閉じていると比較的落ち着きやすいです。
- ストレスはこまめに発散する
- 寝不足・寝過ぎは避ける
- チョコレートやお酒などチラミンの入ったものは控える
- 禁煙または受動喫煙を避ける
- テレビや音楽は控えめに、視覚・聴覚・嗅覚を刺激しないようにする
- 薬はセロトニン受容体に働くトリプタン製剤が有効。繰り返す片頭痛で辛い場合は処方してもらうと良いでしょう。あくまでも症状が辛い時に用法を守って使用します。(薬を服用し過ぎると「薬剤使用過多による頭痛」を発症してしまいます)
- 片頭痛の場合は頭部や首回りは刺激しないようにしましょう。頭から離れたツボを押して緩和させる方法があります。
《片頭痛に効くツボ》
- 合谷(ごうこく)→手親指と人差し指の骨が合流する場所
- 崑崙(こんろん)→外くるぶしとアキレス腱の間にある窪み
- 足臨泣(あしりんきゅう)→足小指と薬指の骨が合流する場所
群発頭痛
群発頭痛は片頭痛と同じく血管が拡張することが原因で起こる頭痛です。ですが、片頭痛と違うところは20代〜40代の男性に多いところと、発作は数ヶ月から数年に1度と頻度は少ないですが痛みが非常に強いことが特徴です。
【主な原因】
- アルコール
アルコールのほかに硝酸剤など血管拡張薬が原因と言われています。群発頭痛を起こす人には多量の飲酒と喫煙者が多いため、血管を拡張させるアルコールと収縮させるニコチンの両方が引き金になっているとも言われています。はっきりと解明されていないのが現実です。
- 時間遺伝子
タイミングは人それぞれですが、群発頭痛はある時期の決まった時間に起こる特徴があります。発作が起きている期間は毎日同じような時間に痛みが起きます。これが時間遺伝子がある視床下部が関係してきているという説もあります。いずれにせよ、はっきりとした原因はいまだ解明されていません。
【症状】
- 目をえぐられるような強烈な痛み(あまりの痛さに人格が変わってしまうこともあるようです)
- 1回15分〜3時間程度の発作が1日に1〜数回起こり、数日〜数ヶ月続く。その期間が過ぎるとまったく発作が起きない時期が数ヶ月〜数年続く。
- 決まった時期の決まった時間に発作が起こる
- 目の充血、発作が起きている側の鼻詰まり・鼻水
- 眼瞼浮腫や顔面の汗や紅潮が起こる場合もある
【対処法】
- 片頭痛と同じくセロトニン受容体に働くトリプタン製剤が有効。
- 薬物療法に合わせて酸素吸入を行う。(市販の酸素では濃度が足りないので100%の酸素吸入が良い)
- 薬物療法があまり効かない場合では神経ブロック療法を用いる。
- 禁酒、禁煙。または控える。
二次性頭痛
病気が原因となって起こる二次性頭痛は様々な原因が存在します。一次性頭痛のように頭痛だけが発作的に起こるのではなく、何かしら体に不調があり、その症状の一つとして頭痛が起こります。ですので、頭痛を改善するというよりも疾患を治療することが最優先になります。治療の途中で鎮痛剤が使用されることもありますが、一時的に痛みが緩和されるだけで原因となる疾患が治らない限りは痛みは取れません。
二次性頭痛では確率的には1割程度ですが命に関わる疾患もあるので、その可能性を排除するためにも必要に応じて精密検査が行われます。
『くも膜下出血』では通常、突然ハンマーで殴られたような激しい頭痛が起こります。同時に吐き気や嘔吐も現れ意識が朦朧とします。しかし、まれに出血が少ないと痛みが軽く風邪か何かだと勘違いされ放置されてしまう事があります。いつもと違う痛み方が続く場合は受診しましょう。
『脳腫瘍』の場合は逆に慢性的な頭痛が起こります。しかし治ることはなく徐々に症状が重くなっていきます。字が書けなくなる・計算できなくなる・左右が分からなくなるなどの症状も起きることがあります。そのような症状が起きたり休んでいても悪化する一方で改善しない場合は受診して検査をしてもらいましょう。
まとめ
頭痛は誰でも起こる症状であり、心配のない場合が多いものですが「いつもと違う」と感じたら受診しましょう。
一次性頭痛は命にかかわる重い病気ではありませんが、繰り返し起こると耐え難いものです。対処法を参考に少しでも楽に過ごせるよう意識してみてくださいね。
コメント