【この記事について】本記事は 2026年10月5日 時点で、厚生労働省などの公的機関が公表している情報(記事末尾に出典)を確認して書いた、制度の全体像の整理です。公的な制度は改正されます。給付率・上限額・要件は変わることがあるため、申し込む前に必ず出典の公式ページと、お住まいの地域のハローワークで最新の内容をご確認ください。要件を満たすかどうかの判断と支給の決定は、ハローワーク・労働局などの窓口が行います。この記事は、制度が必ず利用できることや、受講・転職の結果を保証するものではありません。
「リスキリングの補助金」で探しているとき、最初に知っておくと迷わないのは「個人がお金を受け取る制度は、補助金ではなく給付金という名前で用意されている」ということです。会社が受け取るものは助成金、国が事業者に出すものが補助金で、名前が違うぶん、申し込む場所も条件もまったく別になります。働きながら自分で学ぶなら教育訓練給付金、離職中や収入が少ないなら求職者支援制度(月10万円)、会社の費用で学ぶなら人材開発支援助成金を会社に使ってもらう。この3つのどこに自分がいるかを決めるのが最短です。

まずはこれだけ|自分が使えるのはどれか
自分の状況から1行選んでください。それ以外の制度は、いったん読まなくて大丈夫です。
| いまの状況 | 見るべき制度 | 申し込む先 | お金の出方 |
|---|---|---|---|
| 働きながら、自分で講座を選んで学びたい | 教育訓練給付金 | ハローワーク(自分で手続き) | 受講費用の一部が本人に支給 |
| 離職中、または収入が一定額以下 | 求職者支援制度 | ハローワーク(自分で手続き) | 訓練は無料+月10万円の給付金(要件あり) |
| 会社の指示・費用で研修を受けたい | 人材開発支援助成金 | 会社が労働局へ申請 | 会社に支給(本人には来ない) |
| 何から考えればいいか分からない | キャリア形成・リスキリング支援センター | 自分で予約 | 相談は無料 |
いちばん多い勘違いは、3行目を自分で申し込もうとしてしまうことです。助成金は会社に支給されるので、本人が窓口へ行っても手続きできません。この見分けだけで、調べる時間がかなり短くなります。
言葉の整理|給付金・助成金・補助金はどう違うのか
検索するときに同じものとして扱われがちですが、お金を受け取る人が違います。ここを押さえると、見つけた情報が自分向けかどうかを一瞬で判断できます。
| 呼び方 | 受け取る人 | この記事での例 |
|---|---|---|
| 給付金 | 働く人・求職者(個人) | 教育訓練給付金、職業訓練受講給付金 |
| 助成金 | 事業主(会社) | 人材開発支援助成金 |
| 補助金 | 多くは事業者(講座やサービスを提供する側) | 国の事業として公募され、個人は事業者を通して受講料の割引を受ける形が多い |
つまり「リスキリング 補助金」で探していた人が最終的にたどり着くのは、ほとんどの場合「給付金」です。以下は、その給付金を中心に見ていきます。
① 働きながら自分で申し込む:教育訓練給付金
雇用保険に入って働いてきた人が、自分で講座を選んで、受講費用の一部を国から受け取れる制度です。厚生労働省の教育訓練給付制度のページでは、制度が複数の種類に分かれていることと、対象になる講座が指定制であることが案内されています。
40代の学び直しでいちばん使われるのがこれです。ポイントは3つあります。
- 講座は「指定されたもの」だけ。自分で見つけた講座が対象かどうかは、厚生労働省の教育訓練講座検索システムで確認します。対象外の講座は、どんなに良い内容でも給付の対象になりません。
- 受講前に手続きが必要な種類がある。種類によっては、受講を始める前にハローワークで手続きをしておく必要があります。先に申し込んでしまうと間に合わないことがあるので、講座を決めたら受講前に一度ハローワークに相談するのが安全です。
- 支給は受講後。受講料は先に自分で払い、修了後に申請して支給を受ける流れです。手元の資金の計画も一緒に考えておきます。
種類ごとの給付率・上限額・対象者の条件は、こちらで整理しています。金額の話はここに入れずに分けてありますので、具体的にいくら戻るのかを知りたい場合はこちらをご覧ください。

② 離職中・収入が一定額以下:求職者支援制度(月10万円)
厚生労働省の求職者支援制度のご案内では、対象として雇用保険の適用がなかった方、フリーランス・自営業を廃業した方、雇用保険の受給が終了した方が挙げられています。さらに「一定額以下の収入のパートタイムで働きながら、正社員への転職を目指す方など」も対象に含まれると書かれています。完全に失業していなくても対象になりうるのが、見落とされやすい点です。
訓練そのものは受講料が無料(テキスト代などは自己負担)で、加えて要件を満たすと職業訓練受講給付金が支給されます。公式ページに書かれている内容は次のとおりです。
| 手当 | 金額(公式ページの記載) |
|---|---|
| 職業訓練受講手当 | 月10万円 |
| 通所手当 | 訓練施設へ通所する場合の定期乗車券などの額(月上限42,500円) |
| 寄宿手当 | 月10,700円(住居の変更が必要と認められた場合) |
支給要件として、公式ページには次が挙げられています。
- 本人収入が月8万円以下
- 世帯全体の収入が月30万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 訓練実施日全てに出席する
- 過去6年以内に職業訓練受講給付金の支給を受けていない
⚠ 世帯全体で見る要件があるため、配偶者に収入がある場合は該当しないことがあります。該当するかどうかの判断はハローワークが行いますので、表の数字だけで自己判断せず、窓口で確認してください。要件を満たさない場合でも、訓練自体は受講できることがあります。
訓練の種類や申し込みの流れは、こちらで詳しく書いています。

③ 会社が受け取る:人材開発支援助成金
厚生労働省の人材開発支援助成金のページには、7つのコースが掲載されています。
| コース名(公式ページの記載) |
|---|
| 人材育成支援コース |
| 教育訓練休暇等付与コース |
| 人への投資促進コース |
| 事業展開等リスキリング支援コース |
| 建設労働者認定訓練コース |
| 建設労働者技能実習コース |
| 障害者職業能力開発コース |
「リスキリング」という言葉がそのまま入っているのが事業展開等リスキリング支援コースです。公式ページでは「新規事業の立ち上げなどの事業展開等に伴い、新たな分野で必要となる知識及び技能を習得させるための訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成」すると説明されています。支給の対象は「事業主等が雇用する労働者に対して」訓練を行った事業主で、お金は会社に入ります。
⚠ 助成率・上限額の数字はこの記事には書きません。公式ページには「事業展開等リスキリング支援コース改正:令和8年8月3日からの変更点について」という案内と、令和8年度版のパンフレット(令和8年4月8日版・令和8年8月3日版)が並んでいます。年度の途中で変わっている制度なので、金額は必ず最新のパンフレットで確認してください。
会社に提案するときの言い方
本人が申請できないので、使いたいときは会社に動いてもらうことになります。40代で「自分が言い出していいのか」と迷う部分ですが、会社にとっては費用の一部が戻る話なので、持っていき方次第です。
- 自分の学びたい内容ではなく、会社の課題から話す。「新しく始める業務に必要な知識を、助成金の対象になる訓練で身につけたい」という順番にします。
- 公式ページのパンフレットを添える。口頭で「助成金があるらしい」と言うより、厚生労働省のページを1本送るほうが通りやすくなります。
- 手続きをするのは人事・総務。申請には計画の届出など事前の手順があります。先に受講してしまうと対象外になることがあるので、受け始める前に相談してもらいます。
会社が動かないときは、①の教育訓練給付金で自分で学ぶ道が残っています。どちらか一方しかない、という話ではありません。
④ 迷っているうちに使える:無料のキャリア相談
制度を調べ始めて止まってしまう理由は、たいてい「何を学ぶか決まっていない」ことです。ここは無料で相談できます。
厚生労働省の委託事業として「キャリア形成・リスキリング推進事業」が運営され、キャリア形成・リスキリング支援センターが全国47都道府県に置かれています。個人向けに、キャリアコンサルティング(キャリアプランの明確化の支援)、ジョブ・カードの活用、キャリア形成やリスキリングの相談が無料で提供されています。
使いどころは、講座を申し込む前です。給付金は「対象講座を選べているか」で成否が分かれるので、先に方向を決めてから講座を探すほうが無駄がありません。
自治体や、そのほかの制度の探し方
都道府県・市区町村が独自に、受講料の補助やデジタル人材育成の講座を用意している場合があります。ただし内容・金額・募集期間は地域ごとにまったく違い、年度で終わるものもあります。この記事では特定の自治体の金額を書きません(書いた時点で古くなるためです)。
探すときは、次の順番が確実です。
- 「お住まいの都道府県名+リスキリング」または「+職業訓練」で検索し、自治体の公式サイト(go.jp/lg.jp)を開く。
- 募集期間と対象者(在職者か離職者か、年齢、在住要件)を先に見る。ここで外れていると、内容を読む意味がありません。
- 国の制度との併用ができるかを確認する。同じ講座で二重には受け取れないのが一般的です。窓口で必ず確認してください。
⚠ 「必ず給付される」「誰でも受け取れる」と書いている民間のまとめ記事は、いったん疑ってください。公的な制度はすべて要件があり、支給の判断は窓口が行います。
申し込む前に確認する5つ
順番を間違えると、受け取れるはずだったものが受け取れなくなります。ここだけは先に押さえてください。
| # | 確認すること | なぜ |
|---|---|---|
| 1 | その講座は「指定された講座」か | 対象外の講座は給付の対象にならない |
| 2 | 受講の前にやる手続きがないか | 種類によって事前の手続きが要る。後からでは間に合わないことがある |
| 3 | 自分の雇用保険の加入期間 | 教育訓練給付金は加入期間の条件がある |
| 4 | 過去に同じ給付を受けていないか | 前回からの間隔の条件がある(求職者支援制度は過去6年以内の受給が要件に含まれる) |
| 5 | お金が出るタイミング | 受講料を先に払う形が基本。手元の資金の計画が必要 |
この5つは、ハローワークの窓口で一度に全部聞けます。電話より、講座の資料を持って窓口へ行くほうが早く終わります。
よくある質問
Q. 「リスキリング補助金」という名前の制度はありますか。
A. その名前の制度を、公的機関のページでは確認できませんでした。近いのは、個人向けの教育訓練給付金と、事業主向けの人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)です。民間の記事で「リスキリング補助金」とまとめて呼ばれていることがありますが、申し込む先が個人と会社で分かれるので、必ずどちらの話かを確認してください。
Q. 働きながらでも、月10万円の給付金はもらえますか。
A. 求職者支援制度の公式ページには、「一定額以下の収入のパートタイムで働きながら、正社員への転職を目指す方など」も対象に含まれると書かれています。ただし本人収入が月8万円以下、世帯全体の収入が月30万円以下、世帯全体の金融資産が300万円以下といった要件があります。フルタイムで働いている場合は、①の教育訓練給付金のほうが現実的です。
Q. 会社に知られずに使えますか。
A. ①の教育訓練給付金は、自分でハローワークに手続きする制度です。③の人材開発支援助成金は会社が申請するので、会社の協力が前提になります。どちらを使うかで変わります。
Q. 資格を取れば転職できますか。
A. 制度を使って学んだことが、採用や転職の結果を保証するものではありません。ただし、40代の学び直しで効きやすいのは「これまでの業務経験と、学んだことがつながっていること」です。講座を選ぶ前に、④の無料相談で経験の棚卸しをしてから決めるほうが、遠回りになりにくくなります。
Q. 複数の制度を同時に使えますか。
A. 同じ講座に対して二重に受け取ることは、一般にできません。併用の可否は制度の組み合わせごとに違うため、窓口で確認してください。順番に使う(まず求職者支援制度で訓練を受け、就職後に教育訓練給付金を使う)といった形は考えられますが、これも要件次第です。
まとめ
- 個人がお金を受け取る制度は「給付金」。「補助金」で探していた人の目的地は、ほぼ教育訓練給付金か求職者支援制度。
- 働きながら学ぶなら教育訓練給付金。対象講座は指定制。受講前の手続きが要る種類がある。
- 離職中・収入が少ないなら求職者支援制度。訓練は無料、要件を満たせば職業訓練受講手当が月10万円。
- 人材開発支援助成金は会社に支給される。本人は申請できない。会社の課題から提案する。
- 助成率や上限額は年度の途中でも変わる。2026年8月3日からの変更も案内されている。金額は必ず最新のパンフレットで確認。
- 決める前に無料相談。キャリア形成・リスキリング支援センターが全国47都道府県にある。
- 「必ずもらえる」と書いてある記事は疑う。支給の判断は窓口が行う。
制度の名前は難しそうに見えますが、やることは「自分がどの行にいるかを選んで、その1つだけを窓口で確かめる」だけです。全部を理解する必要はありません。今日どの行かが決まったなら、それがいちばん大きな一歩です。
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参考にした一次情報(2026年10月5日 確認)
教育訓練給付制度について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html
求職者支援制度のご案内|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyushokusha_shien/index.html
人材開発支援助成金|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html
キャリア形成・リスキリング推進事業【厚生労働省委託事業】
https://carigaku.mhlw.go.jp/
教育訓練講座検索システム|厚生労働省
https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/
ハローワークの所在地一覧|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/hellowork.html
