関節には荷重関節と非荷重関節があります。荷重関節は体重の負荷がかかってくる関節、非荷重関節は体重の負荷はかかってこない関節です。
普段私たちの関節にはどのくらいの負荷がかかっているのか考えたことありますか?想像を超える負荷が実は日々かかっているのです。
荷重関節の負荷
荷重関節は体重の負荷がかかってくる関節。主に足関節・膝関節・股関節と下半身の関節が挙げられます。脊柱(特に腰椎)なども含まれます。
この関節には寝ているとき以外、常に体重の負荷がかかっています。体重の負荷(圧力)がかかった状態で関節をスムーズに滑らかに動かすために骨の端には軟骨という膜に包まれたクッション材があり、ここを常に滑るように動いています。荷重関節には普段どれほどの圧力がかかっているのでしょう。
足関節は、地面から直接衝撃を受ける関節なので腓骨・脛骨・距骨の3つの骨から構成され構造的な安定感があります。歩くときは体重の2.1倍、走る時は3倍、ジャンプでは6倍もの負荷がかかります。
膝関節は、荷重関節の中で一番不安定な関節。歩くときは体重の3〜4倍、階段の上り下りでは6〜7倍もの負荷がかかります。不安定なので体の使い方が崩れたり筋肉のサポートが弱いと、とたんに軟骨へのストレスが集中的に増し、軟骨がすり減ったり半月板を損傷してしまうリスクが高まります。特に膝関節に負担をかけてしまう動作としてはしゃがむ・階段の昇降・ジャンプです。
股関節は、膝関節よりは安定性はあります。ですが球関節なので可動域が大きくやはり筋肉のサポートがなければとたんに軸がブレて関節面にストレスがかかってしまいます。歩くときは体重の3〜4倍、走るときは4〜5倍、階段の上り下りでは6〜9倍もの負荷がかかるのです。
腰椎も上半身の重さを支える荷重関節です。腰椎も含め脊柱は間に椎間板というクッションがあります。負荷をかけ続けることで椎間板に亀裂が入り中の組織が飛び出してしまう椎間板ヘルニアが起こるリスクが高まります。正しい姿勢で立っているときの負荷を1とすると、座るだけで1.4倍と負荷が上がり、更にそこから前屈みになると1.85倍、そこから荷物を持ってしまうと3倍にまで跳ね上がります。ちなみに立ったまま前屈みでは1.5倍、そこから荷物を持つと2倍になります。腰椎を丸くしながら長時間座っていると約2倍のストレスがかかり続けていることになるんですね。
また、荷物は体から離して持つだけで11倍の重さにまでなってしまいます。なるべく体幹に近づけて腰を丸めずに持ち上げることが腰椎への負担を軽減するポイントなのです。
このように関節には体重の重さ以上の圧力がかけられています。歩くだけで体重60kgの人の膝や股関節に180kg〜240kgもの負荷がかかり、階段ではなんと360kg以上の負荷がかかってきます。
すなわち体重が1kg増えただけでも膝には6kgほどの負担が増えると言うことですね。逆に言うと体重が1kg減るだけで負担が軽減されます。軟骨がすり減って痛みが出てしまう人は①加齢による劣化②バランスの崩れ③筋力不足④スポーツや職業での酷使⑤肥満などが主な原因です。もし標準以上の体重がある場合は、減量をするだけで負担が大きく減らせます。
非荷重関節の負荷
非荷重関節は体重の負荷がかからない関節。主に肩関節・肘関節・手関節など腕の関節が挙げられます。
腕の重さこそかかりますが、体を支える役割は担っていないので日常的な関節へのストレスは荷重関節より低くなります。
ですが、肩関節はとても故障が多い関節です。なぜでしょう?
それは日常的によく使う関節かつ物を持つことで荷重がかかるからです。肩関節は腕の可動域を広くするために構造的にとても不安定になっています。ほぼ筋肉でのサポートになっていると言っても過言ではない関節で、体の中で一番不安定といえるでしょう。
荷重関節のように圧力がかかる関節ではないですが、重い荷物を持ったり、スポーツや職業などでストレスをかけ続けることで関節のバランスが崩れて衝突が起こります。
まとめ
関節にかかっている負荷、いかがでしたか?荷重関節への負荷はとても大きなものですね。この負荷を受けながら何十年も生活していくのですから、少しでも負荷は少なく長く健やかに使い続けたいですよね。
荷重関節は常に大きなストレスがかかっているので、関節を守るためには適正体重の維持・筋力の維持・姿勢や体の使い方などがとても大切です。
非荷重関節に関しては偏った使い方や酷使によって故障リスクが高まるのでバランスが崩れないように気をつけることが第一です。
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