多裂筋は腰の深層部にあり、インナーマッスルの1つです。脊柱起立筋がアウターマッスルでその下に多裂筋というインナーマッスルがあります。
この多裂筋は体幹を支えるための重要な筋肉。疲労することで腰痛の原因にもなります。
脊柱起立筋と多裂筋
脊柱起立筋も多裂筋も腰から背中、首の後ろ部分にまで伸びる背骨を支えるように付いている筋肉です。
脊柱起立筋は最長筋・腸肋筋・棘筋のことでその名の通り背骨(脊柱)を起立させるために働く筋肉です。脊柱を伸展させる働きもありますが、背骨が前へ倒れないように働くというほうが重要となります。
一方、多裂筋は脊柱起立筋と同じような位置にありますが、脊柱起立筋の分類には入りません。なぜなら作用が全く異なるからです。
脊柱起立筋が腰部から頸椎まで長く伸びているのに対し、多裂筋はその深部でそれぞれ単体に分かれて椎体(背骨の一つ一つの骨)に付着してます。椎体と椎体を繋ぎ、背骨の細かい動きをサポートしたり安定させる役割があります。
脊柱起立筋のように背骨全体を支えるというより、背骨ひとつひとつを個別に支え配列を整えている筋肉なのです。
また、脊柱起立筋は腰部で腱膜となり仙骨に付着していますが、多裂筋は腰部でも筋肉として働いています。ですので、仙骨部分を直接的に支えているのは多裂筋となります。背中上部での多裂筋は脊柱起立筋に比べて筋肉断面の比率が低いですが、腰部にいくにつれ筋肉断面の割合が増えて腰椎下部では脊柱起立筋は腱膜となり多裂筋は太くしっかりとした筋肉になります。
インナーマッスルとして働く多裂筋
脊柱起立筋の深層部にある多裂筋は、インナーマッスルとして分類されます。
インナーマッスルは多裂筋・腹横筋・横隔膜・骨盤底筋群で構成されていて、それぞれ協力し合い体幹を安定させています。
特に腹横筋とは胸腰筋膜を介して繋がり、腰部をぐるっと一周コルセットのように取り巻いている筋肉です。
更にそのコルセットを安定させるために上下で支えるのが横隔膜と骨盤底筋群。
すべて連動して働き、多裂筋が収縮すると腹横筋・横隔膜・骨盤底筋群も収縮します。何か動作を起こすときに、まず初めにこのインナーマッスルが体幹を固め、姿勢が崩れないよう安定させてから動作に入ります。日常の何気ない動作でも常に使われている筋肉なのです。
多裂筋と腰痛
多裂筋は何か動作をする時にも、動かずに静止している時にも、背骨の配列バランスを保つために常に働いています。
これだけでも疲労が蓄積しやすい部分と想像がつきますが、腹横筋などの他のインナーマッスルが弱かったり脊柱起立筋が弱かったりすることで、多裂筋への負担は増加します。
他のインナーマッスルが弱いと体幹をうまく支えることが出来ずに仙骨と腰椎のバランスが崩れます。それを支えるのが仙骨と腰椎を直接筋肉で支える多裂筋。脊柱起立筋が弱いことでも、背骨が曲がり骨盤が後傾し多裂筋へかかる負荷が大きくなります。
腰仙部を直接的に支えている多裂筋はこういった姿勢崩れによる負荷がとても大きい箇所なのです。
多裂筋からの腰痛を改善する
多裂筋からの腰痛を改善するには…
- インナーマッスル強化
- 脊柱起立筋トレーニング
- 多裂筋ストレッチ
この3つが大切になります。
インナーマッスル強化には腹横筋にしっかりと効く『ドローイン』が最適。
【ドローイン】
やり方:息を吸いながらお腹を凹ませ、更に息を吐きながら凹ませます。吐ききったら息を5カウント止めてから緩めます。
慣れてきたらどこでも出来るトレーニングですが、はじめは仰向けでお腹に手を当てながら行うと感覚が掴めてきます。
脊柱起立筋トレーニングは沢山ありますが、今回は基本的な2つを紹介します。
【バックエクステンション】
やり方:うつ伏せで手足を伸ばします。背筋を使って手足を同時に上へ上げ10秒キープします。
【ダイアゴナルシットバック】
やり方:四つん這いになって右手と左足を上げます。そのまま10秒キープしたら、左右手足を交代します。
背中をしっかり意識して行うとより効果がUPします!
最後に疲労した多裂筋のストレッチです。筋肉を伸ばして血行を促し疲労をとっていきましょう!
【多裂筋ストレッチ①】
やり方:体を丸めてゆりかごのように揺れます。ポイントは腰の下の部分まで丸めること!
【多裂筋ストレッチ②】
やり方:写真のように体を捻り背骨を動かしましょう!特に腰の部分を意識していけるところまでひねります。
まとめ
知る人ぞ知る多裂筋は実は重要なインナーマッスルのひとつだったのです。多裂筋が原因となっている腰痛は実はとても多いので、意識して緩めていくことが腰痛対策には必要です。
直接触れられない場所なので、マッサージだけではなかなか緩められません。腰を丸くする・腰をひねるの動きで多裂筋を効果的に緩めていきましょう!
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