足根骨の動きと役割は?体のバランスと歩行との連動について

不調改善&メンテナンス

歩く時や走る時には足の裏の使い方がとても大切です。地面からの衝撃を直接受け取る部分ですから、ここのバランスが崩れると体全体の崩れや不具合に繋がります。

上手に衝撃を受け止められるか?は足根骨という足の根本にある小さな骨の集合体の動きで決まります。今回は足根骨の役割とそこに関わる関節の動きについて書いていきますね。

足根骨の構成

足根骨は足首と足指の中間にあります。解剖学的に言うと下肢(脛骨・腓骨)と5本の足趾の間にあります。足根骨は7つの骨が複雑に組み合わされています。

踵骨はかかと部分。その上に距骨。中間に舟状骨立方骨。そして内楔状骨中楔状骨外楔状骨が並んでいます。

足根骨は踵骨・立方骨の上に距骨・3つの楔状骨が乗っている構造になっているので、機能面で縦に分けることができます。内側が距骨・舟状骨・3つの楔状骨・第1〜3足趾、外側が踵骨・立方骨・第4、5足趾です。

これはどんな凹凸のある地形でも常にバランスよく対応しながら衝撃を適切に上へ伝え歩行を安定させるための構造です。

足根骨の可動は僅かですが、その僅かな動きで立位や歩行が安定するように保たれているのです。

足根骨の関節

足根骨には立位や歩行を安定させるために重要な関節があります。距腿関節距骨下関節ショパール関節リスフラン関節。それぞれどのように働いているのか見ていきましょう。

距腿関節

距腿関節は足関節とも言われる足首の関節です。脛骨と腓骨で作られたレールの上を距骨の滑車が滑走するようになっていて背屈20°、底屈45°の可動があります。

距骨の滑車部分は前方が広くなっているので背屈では関節を安定させている靭帯がしっかり働き安定性が高まります。逆に後方は狭くなっているので底屈では靭帯のサポートが甘くなり安定性が低くなります。背屈位よりも底屈位のほうが捻挫しやすいのはこのためです。

距骨下関節

距骨下関節は距骨と踵骨で作られている関節で、外転10°・内転20°・回外30°・回内20°の可動があります。この動きで坂や障害物上でもまっすぐ立つために働き、下肢のバランスを保っています。

距骨下関節が回内すると距骨が底屈し内旋します。それにより下腿も内旋します。逆に距骨下関節が回外すると距骨は背屈し外旋します。それにより下腿も外旋します。

距骨下関節は距腿関節のような安定性はなく平坦な関節面であるにもかかわらず回内回外の可動が大きい関節です。立位で地面で固定された踵骨と上からの荷重とのバランスを取るために過剰に回内回外が起きやすい部分でもあります。

過剰回内では扁平足に、過剰回外では内反捻挫になりやすくなります。

ショパール関節

ショパール関節は近位は踵骨・距骨、遠位は立方骨・舟状骨から出来ています。この関節は一つの関節ではなく外側の踵立方関節(踵骨と立方骨)と内側の距舟関節(距骨と舟状骨)の関節から構成されています。この関節も立位での安定を保つために働いていて、距骨下関節とのバランスを調整しています。

距骨下関節が回内の時には立方骨と舟状骨が隣に並びます。二つの関節面が並ぶことで同じ方向へ動けるようになりショパール関節の剛性が増します。逆に距骨下関節が回外の時には立方骨が舟状骨の下に入り込むようになり関節面が交差し、ショパール関節の柔軟性増します。

これを踏まえて、歩行時には踵から着地する際には地面からの衝撃を和らげるために柔軟性のある内反(距骨下関節:回外)で着地し膝への負担を和らげ、地面を踏み出す時には剛性のある外反(距骨下関節:回内)でしっかりと押し出して前進することが理想的な歩き方となります。

これが常に内反や外反で歩行していると足部関節のバランスが崩れて足根骨の配列も崩れてきます。内反で荷重されたまま歩行を続けていると立方骨が舟状骨の下へ沈んだまま下方へ変異してしまいます。足首が不安定な状態となり捻挫しやすくなったりO脚などバランスの崩れの原因になります。逆に外反で歩行を続けていると距骨と舟状骨が下方に変異してきてしまい縦アーチが崩れ扁平足になってしまいます。地面からの衝撃も直接受けてしまうので足関節だけでなく膝への負担も大きくなります。

ショパール関節は歩行時に上手く連動して動けなくなると足関節全体へ影響を与えます。内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチのバランスも崩れ、下肢全体のバランスも崩れてくるのです。

リスフラン関節

リスフラン関節は近位は内側楔状骨・中側楔状骨・外側楔状骨・立方骨、遠位は5本の中足骨で出来ています。関節面は合計5つあることになります。この関節は足趾の安定を保つために捻れて動く関節です。例えば内反捻挫の趾位(回外位)になった時、親指側が浮いてしまいますよね?安定性を保つためにリスラン関節が捻れます。細かく言うと親指側が底屈して回内し内転します。逆に、外反(回内位)では親指側が地面へ押されてしまうので背屈して回外し外転します。これが外反母趾の原因となってきます。

リスフラン関節は前足部の横アーチの要です。歩行する時、近位足根骨からショパール関節を通りリスフラン関節と動きのバランスを取りながら前足部に順に伝えています。5つの足趾に伝える前の関節がリスフラン関節なのでバランスが崩れたまま伝わってしまうと5本の指でしっかりと地面を蹴り上げることが出来なくなります。これが横アーチが崩れる原因にもなり、中足骨頭(指の付け根部分)に荷重が集中し、タコや魚の目が出来やすくなってしまいます。歩く際に足の甲が痛くなるのも横アーチが崩れリスフラン関節が痛んでいることが多いのです。

まとめ

私たちは立ち、歩いて生活をしています。地面に着地する足部の使い方やバランスはその上の身体のバランスにも影響を与えます。

足部から下腿へ伝わり、膝から股関節へ。そして骨盤、背骨とすべて繋がっているのです。

身体のバランスが崩れているとしたら、足部のバランスから見ていく必要があるということです!

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