手首の動きが硬い、動かしづらい、どこか詰まった感じがする。など痛みではない不具合に悩まれている方がたまにいらっしゃいます。
手首は普段からよく使う場所ですから、動かしづらいと日常生活でのパフォーマンスが低下してしまいますし、必要以上に筋肉に負担をかけてしまい腱鞘炎や腱炎など痛みを起こしやすくなってしまいます。
今回は手首の関節や動きについてお話ししていきます!
手首の関節と動き
手首の動きには屈曲と伸展、そして橈屈(橈骨側に屈曲する)と尺屈(尺骨側に屈曲する)の動きがあります。
次に手首の構造を見ていきます。手首は橈骨・尺骨という肘から下の前腕の骨と5本の指の間に手根骨という8個の小さな骨の集合体があります。
この8個の骨はパズルのように組み合わされていて手の複雑な動きに対応しています。手首の動きはこの手根骨の動きがとても重要になってくるのです。
8個の骨(手根骨)は大きく腕側(近位列)と手指側(遠位列)と4個ずつの2列に分けることができます。
近位列は舟状骨・月状骨・三角骨・豆状骨、遠位列は大菱形骨・小菱形骨・有頭骨・有鈎骨となります。
近位列は比較的個々に動けますが、遠位列は個々の動きが少なく一体となって動く特徴があります。
手首の動きで重要となる関節は橈骨手根骨関節、手根中央関節と近位列に関係する関節です。
橈骨手根関節は楕円の形をした手根近位列が橈骨の楕円型楕円の形をした凹部にはまっている楕円関節で、近位列が滑り込むようにして動きます。手根中央関節は平らな面同士が構成する滑走関節で、可動性が少ない関節です。
一般的に手首の屈曲は橈骨手根関節がメインで伸展は手根中央関節がメインで動きます。
さらに近位列の舟状骨と月状骨は手首屈曲では互いに屈曲し、手首伸展では互いに伸展します。
舟状骨と月状骨は手首の動きに伴って大きく動くので負担がかかり、互いを固定している舟状骨月状骨間の靭帯は炎症・損傷しやすい靭帯にもなります。
そして橈屈では手根中央関節がメインで動き、尺屈では橈骨手根関節と手根中央関節が同程度の割合で動きます。橈屈の時はそのまま真横に倒すと舟状骨と橈骨の突起がぶつかり挟み込みが起こってしまうため、それを防ぐためにも橈骨手根関節は動きが少なく近位列は屈曲位かつ遠位列は伸展位になります。
尺屈ではその逆の動きになり、近位列が伸展し遠位列が屈曲します。
手首は8個の小さな手根骨が微妙にバランスを取り合いながら動き、それによってスムーズな可動性を出しているのですね。
手首が動かしづらくなる原因
手首の動きづらさがある場合は手根骨の微妙なズレによる関節の動きの悪さと手指筋肉の拘縮を考えていきます。
特に転んだ拍子に手をついて痛めた経験がある方や骨折や捻挫の経験がある方は手根骨にズレが生じている可能性があります。
手首屈曲での動きづらさがある場合は橈骨手根関節(特に舟状骨や月状骨)に問題があるかもしれませんし、手首伸展での動きづらさがある場合は手根中央関節(特に舟状骨や月状骨)に問題があるかもしれません。また、手首の屈曲伸展だけでなく、舟状骨と月状骨の屈曲伸展もスムーズに行えているかもしっかり見ていく必要がありますね。
橈屈・尺屈では近位列と遠位列の屈曲伸展がスムーズに行われているかも見ていけると良いでしょう。
ふいに手をついた時に損傷しやすい箇所は舟状骨です。舟状骨は特に負担がかかりやすく可動もあるので、その周辺の動き(特に橈骨とのバランスや月状骨とのバランス)は重要になります。
手首の動かしづらさでは手関節や指の伸筋群・屈筋群に着目する場合が多いですが、手根骨の動きも見ていけると良いですね!
そして次に筋肉ですが、手首のうごきづらさで影響する筋肉は、手首の屈曲制限では手指伸筋群の拘縮、手首の伸展制限では手指屈筋群の拘縮が考えられます。
また、手根骨に直接付着していて影響を与える筋肉はすべて掌にある筋肉です。
【手根骨に付着している筋肉】
- 尺側手根屈筋
- 短母指外転筋
- 短母指屈筋
- 母指対立筋
- 母指内転筋
- 小指外転筋
- 短小指屈筋
- 小指対立筋
これらは物を掴むなど日常で酷使しがちな筋肉です。拘縮によって直接手根骨をズラすことはまずないですが、伸展のしづらさを感じやすくなります。日頃から掌を広げるストレッチなどしてあげると良いでしょう。
指や手首を使うことは日常でとても多く、筋肉疲労が溜まっている方はとても多いです。手首の動かしづらさに加えて腕の怠さや疲労感を感じている場合は筋肉の影響が大きいと考えられますので、毎日こまめにストレッチをして疲労を軽減していきましょう!

まとめ
手首の動かしづらさを感じる場合、基本は筋肉や関節の問題を考えますが、もし両手首や手首以外の関節も動かしづらい・こわばる感じがする(特に朝)などありましたらリウマチなど膠原病の初期症状である場合も考えられますので一度検査することをお勧めします。
また、加齢によっても水分が減り関節の滑走がスムーズでなくなってきます。痛みがない程度に動かしていくことで筋肉が動き循環し機能改善効果がありますので、手首を回すなど動かしていきましょう!
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