食べ物が体脂肪になる流れを解説!しくみが分かれば怖くない!?

ダイエット

いつのまにか増えていく脂肪。それは全て口から取り入れたものから成っています。脂肪として蓄積されやすい栄養素は糖質と脂質ですが、すべて脂肪になるわけではありません。どのようにして脂肪になっていくのか?その流れをみていきましょう!

糖質はこうやって脂肪になる!

脂肪として蓄積されやすい栄養素のひとつが糖質。糖質が脂肪として蓄えられるポイントとなるものは次のようになります。

  1. 血糖値の上昇
  2. 糖質の代謝
  3. 糖質の摂取量

それでは一つずつ詳しく見ていきましょう。

血糖値の上昇

血糖値は糖質が一気に大量に吸収されると急激に上がります。これが実は脂肪として蓄えやすくしてしまう原因のひとつ。

一気に大量に吸収されてしまう理由は消化時間の短さと糖質の量。量はもちろんですが、消化に時間がかかるほど体に吸収されるまでの時間が長くなり穏やかに血糖値が上がります。

血糖値を急激に上げる糖質とは?

同じ糖質でも消化時間に違いがあり、血糖値が急に上がってしまうものと穏やかに上がるものがあります。

糖質を摂取すると消化酵素である唾液アミラーゼ→膵アミラーゼ→マルターゼにより、1番小さな単糖にまで分解され吸収されます。

単糖にまで分解しなければ吸収されないのです。

単糖とは糖類の1番小さな単位で、単糖が結合して多糖類になっています。初めから単糖であればすぐ吸収できますし、多糖であるほど消化に時間がかかります。

どんなものがどんな種類の糖質なのか?見ていきましょう。

【糖質の種類】

単糖類→グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトース

二糖類→スクロース(砂糖・さとうきび・てんさいなど)、マルトース(麦芽・水飴など)、ラクトース(牛乳など)

多糖類→デンプン(穀物・芋など)、グリコーゲン(肉類)

ブドウ糖や果糖は単糖。すぐ吸収されるのでスポーツ時に即エネルギーに変えたい時に利用されますね。すぐに血液の中に入るのでエネルギーとして使いやすい反面、使われなかった時には脂肪として蓄積されてしまいます。消化速度は単糖>二糖類>多糖類となっていて砂糖より穀物の方が血糖値の上昇が緩やかになります。

血糖値の上昇と脂肪の関係

では、次に血糖値が急上昇するとなぜ脂肪として蓄えられるのか?説明していきます。

吸収された単糖の行方ですが、まず肝臓へ行きグルコースとして血液内を流れます。これは貴重なエネルギー源として体の隅々にまで運ぶためです。ここでエネルギーとして使われれば脂肪になることはありません。

血液の中にグルコースがたくさん流れている状態が血糖値上昇。一気に吸収して流れたら急上昇、消化吸収に時間がかかれば順次流れていくので穏やかな上昇になります。

血中のグルコースが増えて濃度が上がってくると濃度を正常に戻すために膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンはグルコースを合成してグリコーゲンという塊に変え、肝臓や筋肉に貯蔵しエネルギー源として使用できるようにします。インスリンの分泌で血糖値が下がるのはこのためです。

インスリンは血糖値が上がった時に正常値になるようコントロールする役割があるので急上昇すると血糖値を戻すためにたくさん分泌されます。そう、その分だけグルコースをたくさん回収してしまうのです。

大量に回収しても肝臓や筋肉に貯蔵する量には限度があります。貯蔵しきれなかったグリコーゲンの行方…それが中性脂肪です。

血糖値の急上昇は脂肪として蓄えられやすい状況なんですね。

空腹時は脂肪を燃やせるチャンス!

肝臓や筋肉への貯蔵量に限度がくると中性脂肪になってしまうのなら、中性脂肪として蓄えられないよう順次エネルギーとして使っていきたいですよね。

肝臓で貯蔵されているグリコーゲンは血液中のグルコースが少なくなってくるとグルコースに分解されて血中に送り込まれます。常に全身へエネルギー供給できるよう血糖値を一定のまま維持するためです。

この状態を作ってあげればいいんです。皆さん空腹を感じる前につまみ食いしていませんか?空腹というのは血糖値が下がった時に感じます。そう、グリコーゲンが分解される状況です。空腹は貯蔵されたグリコーゲンが分解されるチャンスなんです!ダラダラ食べをせず定期的に空腹を感じることで脂肪への蓄積防止にもなるのです。

一方、筋肉に貯蔵されたグリコーゲンは血糖値が下がってもグルコースに分解されて血中には流れません。筋肉内のグリコーゲンは筋収縮させるためのエネルギーとして使用されます。スポーツ選手など筋肉をよく動かす人ほど筋肉への貯蔵量が多くなっています。

糖質の代謝

脂肪として蓄えられないためには糖質を代謝しなければなりません。代謝できなかった分は中性脂肪として貯蔵されてしまうからです。

そこでグルコースが体内でどのように代謝されるのか?その流れを見ていきましょう。

細胞内へ吸収されたグルコース(糖)はピルビン酸という物質に分解されて細胞内のミトコンドリアへと入ります。これを解糖系回路と言います。

ピルビン酸がミトコンドリアに入るとアセチルCoAという物質ができます。ここから沢山の酵素の力を借りながら変化し環状の代謝経路に入ります。代謝経路の中でエネルギーが発生したり水素が生まれたりします。この回路をクエン酸回路と言い、足りない酵素があると回路をスムーズに回れません。

クエン酸回路で生まれた水素は、呼吸で取り込んだ酸素と反応してさらに大きなエネルギーを生成します。これを電子伝達系回路と言い、ここまできてようやく糖質から大量のエネルギーが生成できるのです。エネルギー生成して出来る物質はH2O。そう、水です。

代謝がスムーズに行われるためには

このように糖質から大きなエネルギーを生成するためには沢山の化学反応が必要です。代謝回路がスムーズに行われないと、エネルギー生成がうまくいかないので疲れやすくなったり、代謝が追いつかず脂肪として蓄えられやすくなります。

電子伝達系で大量のエネルギーを生成するまでの道のりにはたくさんの酵素と補酵素が必要です。どれか一つでも不足するものがあれば代謝はうまくいきません。エネルギー源があっても化学反応がうまく起こせず利用できないのです。

エネルギーがスムーズに沢山作れる体こそ代謝の良い体。だからこそ、食事は偏りがないようにバランスよく摂るように心がけなければいけないのです。特に補酵素として働くビタミン・ミネラルは意識して摂りたい栄養素です。

糖質の摂取量

グルコースからエネルギー生成される過程を説明しましたが、大量のグルコースを摂取したらどうでしょう。全てをエネルギー生成に使ってもエネルギーの使い道がありません。

エネルギーは貯蔵できないのです。

体は無駄なエネルギーは作りません。いつかエネルギーが必要になる時のためにエネルギー源として大切に貯蔵します。貴重なエネルギーを無駄にしたら勿体ないですからね。

グルコースはクエン酸回路までやってきて、これ以上エネルギーを生成する必要ない!となったら回路がストップします。アセチルCoAからクエン酸に変換されたままミトコンドリアの外へ流出され、アセチルCoAへ戻り段階を経て脂肪酸へと変換され中性脂肪として貯蔵されます。

こうして吸収しすぎた糖質は中性脂肪となり蓄えられるのです。

エネルギーが必要であればこの回路はストップせず動いてくれます。たくさん動いていればエネルギーは必要。回路はストップしません。

脂質はこうやって脂肪になる!

脂肪として蓄積されやすい栄養素のもう一つが脂質。細胞膜を生成し細胞を若々しく維持する働きがあるので量と質がポイントになります。

脂質を摂取した後の行方

脂質は主にグリセロールに脂肪酸が結合したものです。脂質を摂取すると、胆汁や膵リパーゼにより分解され小腸から体内へ吸収されます。

体内へ吸収された脂質は再度合成され肝臓へ。そこから血液を通り脂肪組織・筋肉組織へ脂肪酸に分解され運ばれエネルギー源として貯蔵されます。

各組織にエネルギー源として届けた後はグリセロールとリン脂質・コレステロールとともに再度肝臓へ運ばれて再度必要な時に使われます。

脂質はグルコースが足りなくなった時に分解されて使われる他、細胞膜のもととなり健康な細胞を維持しています。必要な時にすぐ使えるように血中を流れたり貯蔵されているのです。体にとって必要な栄養素ですが使われなかった分は脂肪細胞へ蓄えられるので量に気を付けつつ摂取しなくてはいけない栄養素でもあります。

中性脂肪とコレステロール

肝臓へ貯蔵された脂質は新たに中性脂肪とコレステロールとして全身に運搬されます。

中性脂肪は糖質が足りなくなった時のエネルギー源、コレステロールは細胞膜や身体の働きを微調整するホルモン、そして胆汁酸を形成するために必要です。コレステロールは悪いものというイメージが強いですが、大切な働きがあるのです。

全身にコレステロールを運搬する組織がLDL(悪玉コレステロール)、要らなくなったコレステロールを回収する組織がHDL(善玉コレステロール)と呼ばれていて、LDL(運搬)がHDL(回収)より多くなると血中に余分なコレステロールが増えてしまい動脈硬化などを引き起こす原因となります。

中性脂肪が分解される流れ

脂肪細胞へ貯蔵されている中性脂肪は糖質によるエネルギーが足りなくなった時に使われます。そう、空腹の時です。

血中のグルコースが少なくなると、中性脂肪は脂肪酸とグリセロールに分解され血中に流れます。

脂肪酸はアセチルCoAに変換されクエン酸回路によりエネルギーを大量に生成し、グリセロールも解糖系回路に参入しグルコースと同じ経路をたどりミトコンドリア内で大量のエネルギーを生成します。

糖質も脂質も性質は違えど分解された先では代謝過程で同じ分子が生まれミトコンドリア内に取り込まれエネルギー生成されるのです。

中性脂肪を分解するためにも空腹はとても大事なのです。

これ以上脂肪を増やさない!

糖質と脂質が脂肪に変わる過程を説明したました。ちょっと難しかったかもしれませんが、じゃあ脂肪を溜め込まないためにはどうすればいいのか?

エネルギー源を余らせないことだったり、スムーズに代謝出来るようにすることだったり…色々とヒントがありましたね。すべて総合して5つのポイントにまとめました。

脂肪を溜め込まないポイント

  1. 血糖値を急激に上げない
  2. バランスの良い食事
  3. 糖質は摂りすぎない
  4. 脂質も摂りすぎない
  5. 空腹の時間を作る

当たり前のようですが、これが脂肪を溜め込まないために必要なことです。

血糖値が急激にあがるとインスリンが大量に分泌されて大量に回収され、余ったものが中性脂肪へと変換されます。

血糖値を急上昇させないように吸収されやすい単糖類・二糖類は一気に大量に摂らないこと。複雑で消化に時間のかかる糖質はダイエット方法でも聞いたことある低GI食品です。白米より玄米、うどんよりそば、じゃがいもよりさつまいも。血糖値が上がりにくいものを選んで食べることで血糖値の急上昇を防げ、インスリンの必要以上の分泌を抑えてくれます。

また、代謝をスムーズにし大きなエネルギー生成を円滑に行うには補酵素であるビタミン・ミネラルが必要です。

水に溶ける水溶性ビタミンは9種類あり補酵素として働きます。摂りすぎても尿として排出されるビタミンです。

水溶性ビタミン

ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC

水に溶けない脂溶性ビタミンは4種類。

細胞の酸化劣化防止や粘膜・骨の健康を保つなどホルモンに似た働きをちます。肝臓に蓄積されるので摂りすぎると体調不良を招くので注意が必要です。

脂溶性ビタミン

ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK

そしてミネラルは、体内に多く存在する7種類の多量ミネラルと少ない9種類の微量ミネラルの2種類があります。

どちらも酵素を活性化させたり組織の構成成分になったり体液の浸透圧を正常に保ったりととても重要な働きをします。

多量ミネラル

カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、イオウ、塩素

微量ミネラル

鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、セレン、マンガン、モリブデン、クロム、コバルト

これだけの種類を微量でも摂らなくてはならないということは、ワンパターンな食事では補えないですよね。

これが体にいい!これが痩せる!と言われても全てを補える食品などありません。

魚介類、豆類、海藻類、きのこ類、緑黄色野菜、肉類など偏らずまんべんなく食べることが1番の健康的に痩せる秘訣です。

最後にこれが一番重要ですが、糖質も脂質も摂りすぎると全て中性脂肪になります。

低GI食品もたくさん食べれば中性脂肪になります。体に良いとされている不飽和脂肪酸もたくさん摂れば中性脂肪になります。アマニ油や青魚などは良質な油で動脈硬化を防ぎ太りにくくダイエットの味方ではありますが、取り過ぎは本末転倒なのです。

一番良い方法が糖質の話しでも脂質の話でも出た空腹の時間を作ること。

血中のグルコース濃度が低くなると肝臓のグリコーゲンが分解されたり中性脂肪が分解されてエネルギーを生成します。

空腹の時間は中性脂肪を分解するチャンス!食事と食事の間はしっかり時間をあけ、空腹の時間を作ることが脂肪を溜め込まない大切なポイントです。

《これも合わせて読んでみて!》

まとめ

ダイエットは脂肪を溜め込まないことと、脂肪を燃焼させることが必要です。

今回は食事で体内に入った糖質と脂質がどのようにして脂肪として蓄えられていくかについてお話ししました。

脂肪を溜め込まないためには食事がとても大切です。さらに脂肪を燃焼させるためには運動が大切になってきます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました