肩をあげる途中が痛い。でも上げ切っちゃえば案外大丈夫。
そんな症状があったらインピンジメント症候群かもしれません。
インピンジメント症候群とは?
インピジメントとは衝突という意味があり、肩関節の周りを取り囲んでいる腱板(※1)や滑液包(※2)が腕の挙上時に肩関節に衝突し挟み込みが起こってしまう現象です。
※1 腱板とは肩関節を安定させる筋肉(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)の腱を指しています。肩関節を安定させ、上肢の動きでこの筋肉が連携して働くことにより上腕骨骨頭をスムーズに動かすことができるのです。
※2 滑液包とは関節の周囲にあるクッション代わりの袋です。関節の動きを滑らかにする役割があります。
インピンジメントはどうして起こるの?
肩インピンジメントは肩の使いすぎや加齢による組織の劣化または何らかの原因による骨棘形成(骨に出来る凸)など原因は様々です。野球など肩を使うスポーツで起こりやすいとされていますが、日常生活で発症する場合も多くあります。
我慢して放置し生活を続けていると肩が上がらなくなったり腱板の部分断裂などに発展する可能性もありますので注意が必要です。
痛みがでた時の対処法は?
基本的には
原因となる動作を極力避ける
というのが一番です。ただ、日常生活で発症した場合には「特に思い当たる出来事がない」という方がとても多く、まずはその原因特定がとても大切な早期改善のポイントになります。
日常生活で起こるインピンジメントの事例
日常生活で起こった肩インピンジメントの患者さんを例にします。
『気付いたらなんだか肩が痛く、腕を上げられないわけじゃないけど上げる途中ですごく痛むようになった。最近、徐々に痛みが悪化してきてる気がする。』とのことでした。
問診では「思い当たる出来事はない。」「肩は使っていない。」と言うことでしたが、『毎日重いバッグを肩にかけている』『長時間吊革につかまり電車に揺られている』ことが分かりました。
つり革につかまって立つと腕を挙上した状態で体の揺れを支え続けることになり、急な停止や揺れなどでは不意に腕をもっていかれることもあります。もちろん肩関節に負担がかかりますね。さらに重いバッグを肩に掛けていると肩を上げる筋肉が疲労し、更に肩が内旋してきます。
このようにありがちな負荷が毎日かかり続けることでも、肩のバランスが崩れ引っ掛かりが起こってしまうのです。
原因が分かればその動作を避けることが1番の解決法。つり革はつかまらずにポールにつかまったり、重いバッグは軽く出来ないのなら背中に背負えるものに変えるなどすると負担が減ります。
このインピンジメントで引っかかりが起こりやすい筋肉は腕を挙上する時に使う棘上筋。他にも肩甲下筋や上腕筋長頭などが原因になる場合もあります。
原因になる動作を避けながら、肩のバランスを整えることで早期改善・再発予防になってきます。
インピンジメント予防にもなる外旋筋トレーニング
インピンジメント予防・再発防止だけに限らず肩関節の安定性を保つための外旋筋トレーニングをひとつ紹介しますね。
私たちは日常生活で肩内旋が強く肩外旋が弱化しやすい特徴があります。
腱板のアンバランスが生じると上腕骨骨頭が不安定になったり前にズレたり巻き肩になったりといったことが起こります。普段から弱化しやすい外旋筋を強化しておきましょう!
【肩外旋筋強化トレーニング】
- パンツのゴムのような強度の弱いゴムを用意し、ドアノブなどに括り付ける。
- ゴムを軽く摘み、肘を曲げまっすぐ正面から体側に引っ張る。この時もう片方の手は肘の下において固定する。
- これを30回〜50回繰り返す。
ポイントは「軽い負荷で回数を多く」
このトレーニングは肩回線筋群のなかの外旋作用である棘下筋と小円筋のトレーニングです。負荷を重くしてしまうとこの小さな筋肉より大きな三角筋の後面が使われてしまいます。
まとめ
このように急に起きたように思われる体の不調は、ご自身の生活の中に原因が含まれていることが多々あります。
思い当たる出来事がないという場合、ある1つの大きな出来事で不調が起きていることは少なく、日常の生活の中での積み重ねから起きているのです。
少しの積み重ねで不調にもなれば絶好調にもなるということです。
まずは自分の日常を振り返ってみることも大切かもしれませんね!
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